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日清食品ホールディングス株式会社代表取締役社長・CEO 安藤 宏基

CEOメッセージ

いつの時代も「創造」が原動力。
社会課題の解決が持続的成長に
つながる

日清食品ホールディングス株式会社代表取締役社長・CEO 安藤 宏基

日清食品ホールディングス株式会社
代表取締役社長・CEO

安藤 宏基

「食は人間の命を支える一番大切なものだ」

日清食品グループとして、この先の未来をどのように描いていくのか。それを語るには、まずは創業者・安藤百福の話から始めなければなりません。なぜなら、創業者が「チキンラーメン」を開発した当時の思いは、私たちにとって不変の原点だからです。

「食がなければ、衣も住も、芸術も文化もあったものではない。食は人間の命を支える一番大切なものだ」

戦後の食糧難で苦しむ人々を目にして、創業者はこう考えました。その思いが、世界初のインスタントラーメンの誕生へとつながっていきました。食が足りてこそ、世の中が平和になる。創業者精神の一つである「食足世平」は、私たちの事業の根幹を示しています。

1958年の創業以来、当社グループは人々の役に立つことは何かを考え続け、食を満たすことで世の中に貢献してきました。その使命は、これからも変わることはありません。グループ理念の「EARTH FOOD CREATOR」には、「生物の根本である食を創り、世の為につくす」という創業者の思いを込めています。

今向き合う社会課題は「Planetary Health」と「Human Well-being」

戦後の日本では飢餓が深刻な問題でしたが、現代の社会課題は多岐にわたります。そのなかで、当社グループは地球規模に広がる2つのテーマに挑んでいます。「Planetary Health」と「Human Well-being」です。

「Planetary Health」は、地球環境との共生に向けた取り組みを指し、環境負荷の低減を目指すプロジェクトを数多く進めています。その一つがサステナブルな食材として注目される「培養肉」の研究です。2017年から東京大学と共同研究を開始し、2022年には日本で初めて研究関係者による培養肉の「試食」を行いました。近い将来、培養肉が新たな食の選択肢となるよう、チャレンジを続けています。また、2023年には「プラントベースうなぎ」の開発に成功しました。動物由来原料を一切使用せずに、うなぎの蒲焼の食感や見た目、風味を再現しています。豊かな食文化を失わないために、持続可能な食料システムの構築に貢献することを目指しています。

「Human Well-being」は、人々の幸福感を高める取り組みを指します。先進国を中心に食生活が豊かになった半面、現代は飽食の時代でもあります。オーバーカロリーによる肥満や、間違ったダイエット方法による「隠れ栄養失調」といった新たな問題も起きています。当社グループはこうした健康と栄養の問題解決に取り組んでおり、「最適化栄養食」の事業を推進しています。2022年に発売した「完全メシ」は、即席めん事業で培った加工技術やうまみ素材などを駆使することで、栄養素が持つ独特のエグみや苦みを感じさせず、普段の食事と変わらないおいしさを実現しました。創業者精神の一つである「美健賢食(美しく健康な身体は賢い食生活から)」を体現する事業であり、現代の食生活における社会課題を解決することで、食によるウェルビーイング向上を図っていきます。

当社グループは、これまでも持続可能な社会形成の一助となることで、持続的成長を実現してきました。今向き合っている「Planetary Health」と「Human Well-being」への挑戦も同様です。この取り組みを通じて、私たちは社会価値を創造していきます。そして、それが同時に経済価値をも生み出すと信じています。

2024年度は、当社グループが注力すべきマテリアリティ(重要課題)を見直しました。これまでは「健康と栄養改善への貢献」「創造人材の育成と活用」「気候変動の緩和と適応」「持続可能な調達」という4項目を掲げていましたが、社会情勢や経営環境の変化を踏まえ、「気候変動」「生物多様性」「森林破壊」「持続可能なバリューチェーンマネジメント」「製品の安全・安心」「人材開発」「健康と栄養」の7項目に置き換えました。これらはいずれも「Planetary Health」と「Human Well-being」に通じる課題と位置付けており、各項目についてグループ全体でコミットメントを策定することで取り組みを加速していきます。

日清食品ホールディングス株式会社代表取締役社長・CEO 安藤 宏基

「Planetary Health」と「Human Well-being」に挑み、 持続可能な社会形成の一助となる。それが同時に経済価値をも生み出すと信じている

変化は好機、「攻め」の経営へシフトする

2024年度の業績を振り返ると、原材料費や物流費の上昇などの逆風もあるなか、売上収益7,766億円、既存事業コア営業利益835億円と過去最高を達成しました。米国事業が前年度比減益となるなど、海外事業の一部に課題が残る結果となったものの、グループ全体として着実に成長を実現しています。

一方で、世界経済は今、パラダイムチェンジの最中にあります。自由貿易体制が揺らぎ、経済圏のブロック化が進むこととなり、企業経営は新たな局面を迎えています。先行きがますます見通しにくい時代ですが、成長への歩みを止めるつもりはありません。世の中が変わるということは、新たな機会が生まれることと同義です。当社グループは、この変化を好機と捉え、「攻め」の経営へとシフトしていきます。

成長力のさらなる強化に向けて、2025年度に掲げる経営テーマは4つです。

1. グローバルマネジメントの再構築

世界経済がダイナミックに変わっていくなかで、市場や消費者の変化を敏感に感じ取り、スピーディに意思決定を行える体制の構築が不可欠です。特に海外事業会社の機能や権限を見直す必要があり、その一環として「Regional Headquarters of Americas」を設置します。米国事業では長年にわたり競合の後塵を拝してきましたが、新たなマネジメント体制により柔軟かつ迅速に戦略を展開し、競争力を高めていきます。

2. 国内外における設備投資の加速

国内工場の設備刷新を進めるほか、この数年で米国、ブラジル、メキシコに新工場を立ち上げる計画を推進しています。米州以外も、海外事業には大きな成長の余地があります。例えばEMEA地域では、国ごとに市場環境が異なるモザイクマーケットの中で幅広く事業を展開しています。欧州全体でシェアNo.2のポジションを獲得しており、即席めんの市場規模も拡大しています。2025年度は、欧州第2工場の建設を見据えて用地取得を行いました。需要拡大が見込まれる地域については、今後も積極的に設備投資を計画していきます。

3. 完全メシを中心とする新規事業の推進

「完全メシ」ブランドの定着と拡充を推進し、2025年度は100億円ブランドへと成長させることが足元の目標です。パッケージ商品だけでなく、小売業や外食業、他分野食品メーカーとの協業によりBtoBtoC事業も拡大しています。その他、保険会社など異業種協業の取り組みも推進し、多彩なタッチポイントを創出することで「最適化栄養テクノロジー」の多面展開を目指しています。国内各事業では黒字化の道筋が見えてきており、海外への事業展開も本格的に加速していきます。

4. 「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」の取り組み強化

世界的な政治情勢の変化により、環境問題の解決に向けた動きが鈍化するとの見方もあります。しかし、EARTH FOOD CHALLENGE 2030は当社グループの環境戦略であり、「Planetary Health」を目指すうえで欠かせない取り組みです。外部環境に関わらず、引き続き最重要課題の一つとして向き合い、食品業界の先頭を走る存在であり続けたいと考えています。

新たな食文化を創造し続けることが使命

過去数年にわたり、当社グループは急速な成長を実現してきました。背景にはコロナ禍における即席めん需要の拡大といった追い風がありましたが、外部環境は刻一刻と変わっていきます。再び成長を加速できるのか、それとも鈍化させてしまうのか。ここからは真の実力が試される局面へ突入していくものと心得ています。

2030年に向けて、次なるマイルストーンとして掲げる目標は「売上収益1兆円、コア営業利益1千億円、時価総額2兆円」の達成です。ROEのターゲットも15%に上方修正し、長期的には20%の水準を視野に入れています。これにより、グローバルのトップ食品メーカーに比肩する企業となることを目指します。

そうした目標を見据え、私たちがなすべきことは一つ。クリエイティブの追求です。いつの時代も、当社グループの発展の原動力となってきたのは「創造」にほかなりません。世界初の即席めん「チキンラーメン」、世界初のカップめん「カップヌードル」を発明した先駆者として、新たな食文化を創造し続けることが私たちの使命です。「Planetary Health」「Human Well-being」への取り組みを軸に、これからも食を取り巻く社会課題の解決を通じて持続的成長を実現していきます。

※既存事業コア営業利益

日清食品ホールディングス株式会社代表取締役社長・CEO 安藤 宏基

グローバルの
トップ食品メーカーへ――
私たちがなすべきは
クリエイティブの追求にほかならない

VALUE REPORT
2025

WHO日清食品グループとは?[4.73MB]

  • グループ理念
  • 社会価値創造History
  • 日清食品グループの今
  • 価値創造プロセス
  • 日清食品グループの6つの資本
  • 日清食品グループのコアとなる強み

WHAT何を目指すのか?[3.56MB]

HOWどのように目指すのか?[19.7MB]

  • CSOメッセージ
  • CFOメッセージ
  • CIOメッセージ
  • 中長期成長戦略 2030
  • 成長戦略❶ 既存事業のキャッシュ創出力強化
    • 国内即席めん事業
    • 国内非即席めん事業
    • 国内TOPICS
    • 海外事業
    • 米州地域―米国
    • 米州地域―ブラジル/中国地域
    • アジア地域/EMEA地域
  • 成長戦略➋ EARTH FOOD CHALLENGE 2030
    • 気候変動問題へのチャレンジ
    • 資源の有効活用へのチャレンジ
  • 成長戦略❸ 新規事業の推進
    • 最適化栄養テクノロジーの多面展開
    • 完全メシを日本から世界へ
    • 最適化栄養食の基礎研究
  • 人的資本の拡充
  • 健康経営・人権への取り組み
  • 社外取締役パネルディスカッション
  • コーポレート・ガバナンス
  • 取締役・監査役

データ  [1.11MB]

  • 財務サマリー
  • 非財務サマリー/主な外部評価
  • 即席めんの世界市場データ
  • 会社情報・株式情報