日清食品グループ

リセット

CEOメッセージ

CEOメッセージ

CEOの写真

「EARTH FOOD CREATOR」として、新しい食の文化を創造し続け、環境・社会課題を解決し、持続的成長を目指す

日清食品ホールディングス株式会社
代表取締役社長・CEO

安藤 宏基

あらゆる有事を乗り越える
レジリエンスに富む事業構造が強み

日清食品グループは、1958年の創業以来、人々の食を満たすことで社会に貢献しようと事業活動を続けてきました。創業者である安藤百福は、戦後の食糧難で苦しむ人々を目にして、「食がなければ、衣も住も、芸術も文化もあったものではない」と「食」の大切さを痛感しました。それが世界初のインスタントラーメンの開発を志すきっかけとなり、「チキンラーメン」の誕生へとつながっていきました。

当社グループの企業理念である「EARTH FOOD CREATOR」には、「人類を食の楽しみや喜びで満たすことを通じて社会や地球に貢献する」という意味を込めています。創業者精神の一つである「食足世平」(食が足りてこそ世の中が平和になる)は、変わることのない当社グループの原点です。

2023年は、「チキンラーメン」の発売65周年に当たります。日清シスコの「シスコーン」は60周年、湖池屋の「ポテトチップス のり塩」も60周年を迎えました。当社グループは、その他にも数多くのロングセラーブランドを有しています。こうした商品群が皆さまに愛され続けていることは、グループ一丸となってブランド価値を磨いてきた成果として評価できると考えています。

足元では、資材価格の高騰をはじめとする世界的なインフレが大きな課題となっていますが、当社グループは成長を続けています。2022年度は、売上収益、各段階利益ともに過去最高を更新し、グループ全体で目標を大きく上回る結果となりました。特に、成長ドライバーとして位置付ける海外事業が、飛躍的な成長を遂げました。

その原動力となっているのが、創業者精神とブランディングを礎としたレジリエンスに富む事業構造なのです。レジリエンスとは、大きく変化する環境に適応出来る耐性のことです。世界情勢の変化やコロナ禍における経済活動の停止、自然災害の発生など、あらゆる有事に対して柔軟に対応できる事業構造こそが当社グループの強みです。即ち非常時においては、即席めんは最も役立つ商品特性をもっていると考えます。

2022年度は全事業分野で価格改定を実施し、新たな価格は徐々に定着してきました。その背景には、物価高が家計を圧迫する中で、当社グループの商品の相対的な値ごろ感や手軽に食べられる利便性が再認識されたことがあると分析しています。即席めん事業では、これまで即席めんを食べる習慣がなかった地域を含めて世界的に需要が高まっており、当社グループの即席めんは今や社会インフラともいえる存在になっています。

不透明な経営環境が続きますが、どのような時代にあっても、当社グループの使命が変わることはありません。新たな食文化を創造し、環境・社会課題を解決しながら持続的成長を果たすという、独自のCSV経営に邁進していきます。

中長期成長戦略2030

環境・社会課題解決への挑戦は
中長期成長戦略の柱

当社グループのCSV経営において、解決すべき環境・社会課題とは何か。

現在、「環境」と「栄養」が世界的に注目を集めています。2022年11月に開催された「第27回 気候変動枠組条約締約国会議(COP27)」では、パリ協定の1.5℃目標の重要性が再確認されました。また、2021年12月に開催された「東京栄養サミット2021」では、各国政府、国際機関、企業、市民団体などのリーダーが集い、健康と栄養に関わる諸問題について議論が交わされました。この2つのテーマは、当社グループが積極的に取り組むべきテーマであり、社会からの期待も高いと認識しています。

2020年に策定した環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」(以下、EFC2030)は、「中長期成長戦略」の柱の一つです。当社グループの持続的な成長を環境面から支える取り組みとして、「資源有効活用へのチャレンジ」と「気候変動問題へのチャレンジ」を推進しています。

2022年11月には、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目指すことを宣言しました。気候変動問題は、原材料価格の高騰や自然災害による生産・物流拠点への被害、消費者の購買行動の変化などさまざまな影響をもたらすため、重要な経営リスクと位置付けています。2023年5月には、EFC2030で掲げたScope1+2およびScope3でのCO2排出量の削減目標をそれぞれ上方修正したほか、インターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)制度を導入するなど、取り組みを加速させています。

そして、今後は、「ネイチャーポジティブ」に向けた活動も強化していきます。ネイチャーポジティブとは、森林破壊などによる自然や生物多様性の棄損に歯止めをかけ、プラスに回復させる取り組みを指します。気候変動問題と同様に、生物多様性の保全と回復は当社グループにとって重要な経営課題です。具体的には、植物性食品の割合拡大による環境負荷の低減、生産工程で廃棄される食材のアップサイクルによる有効活用、パーム油の生産地での森林再生活動などの取り組みが挙げられます。これらを推進することで、環境課題の解決と持続可能な社会の実現に努めていきます。

EARTH FOOD CHALLENGE 2030

栄養については、オーバーカロリーによる健康リスク増大や栄養バランスの偏りによる隠れ栄養失調など、先進国を中心にさまざまな食に関する社会課題が認識されています。当社グループはこの問題に正面から向き合うべく、「最適化栄養食」の事業をスタートしました。

2022年5月には、食本来の楽しさを二の次にした健康食品とは一線を画し、33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求した「完全メシ」を発売しました。1年間で販売食数は1,000万食を突破し、2024年度には100億円ブランドへと成長させることが当面の目標です。創業者精神の一つである「美健賢食(美しく健康な身体は賢い食生活から)」を体現する事業であり、安藤徳隆COOの主導のもと、「好きなものを、好きなときに、好きなだけ楽しめる世界」の実現に向け、時間をかけて大きく育てていきたいと考えています。

新規事業の推進

イノベーティブな組織づくりに注力
「興味と執念」が個人の成長を加速させる

創業者の「成長一路、頂点なし」の言葉通り、当社グループは創業から現在に至るまで、常にチャレンジャーであり続けています。イノベーションを通じて新しい製品を世の中に提案し、消費者の支持を得ることで成長を続けてきました。CEOとしてやるべきことはただ一つ。会社の持っている経営資源を効率的に生かし、当社グループの強みである事業構造をさらに進化させることです。

昨今、人的資本の強化に注目が集まっていますが、イノベーティブな組織を目指す上で、人材の育成が欠かせないことは言うまでもありません。当社グループでもジョブ型人事制度の導入や従業員エンゲージメントを向上させる施策の実施など、さまざまな取り組みを進めています。また、業務フローを効率化し、生産性を向上させるためには、デジタルツールの活用も不可欠です。2023年4月には、当社グループ専用のテキスト生成AI「NISSIN AI-chat powered by GPT-4」を導入しました。より多くの時間を創造的な活動に集中させ、一人ひとりの能力や組織の成長を加速させることが狙いです。

振り返ると、人生の半分以上を費やして社長業に邁進してきました。個人の成長を加速させるものは、「興味と執念」に尽きます。創業者は「発明はひらめきから。ひらめきは執念から。執念なきものに発明はない」と語っていました。うまくいかなくても諦めず、妥協せず、成功するまで徹底的にやり続ける。そんな情熱のある人材が当社グループの成長をリードしてくれると確信しています。従業員をはじめとするステークホルダーとともに、さらなる飛躍を実現していきます。

ページトップヘ