日清食品グループ

リセット

ESG課題の定量化分析

ESG課題の定量化分析

創業者精神(ミッション)に基づく、非財務の取り組みと企業価値の関係性

創業者精神に基づくESG (非財務) の取り組みを「定性」と「定量」の両面から可視化・分析することで、環境・社会問題の解決を通じて企業価値を向上させる関係性が明らかになりました。この分析の取り組みの背景と、分析結果の詳細について横山CSOにインタビューを実施しました。

Q.今回の取り組みの背景を教えてください

今や世界の約4割はESG関連投資とも言われているほど急速に拡大し注目を集めるESG投資ですが、日清食品グループは創業時から人や社会に役立つことを第一義に考える中で同時に事業を拡大してきました。その意味で結果的にCSV経営の考え方に基づきESGに取り組んできたと言えます。
一方で、これまでESGの取り組みについては企業価値との関係性を可視化するのが難しいこともあり、投資ではなくコストとして見られることも少なくありませんでした。ある調査*1ではまだ8割強の機関投資家が企業のESG開示が不十分と感じているという結果も出ていますが、これは企業側は何かしらESGデータを開示しているものの、企業価値との関係性が見えにくいということが背景にあると感じています。
このような中、当社としても創業者精神に基づくESGの取り組みと企業価値の関係性を明らかにできないかと考え、今回「ESG (非財務価値) と企業価値の関係性」を明らかにするための取り組みを行いました。

Q.取り組みの概要を教えてください。何が分かったのでしょうか?

今回、創業者精神に基づくESG (非財務価値) の取り組みに対して、「定性」と「定量」の2方向から企業価値との関係性を分析しました。
定性面の検証では、SASB (サステナビリティ会計基準審議会) マテリアリティマップをはじめとする複数の外部評価機関の項目を考慮し、将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG要素を特定した日清食品グループの「重点取り組みテーマ」と当社グループのミッションである「創業者精神」が密接に関係していることを確認しました。
また定量面の検証では、非財務資本と企業価値 (PBR) の関係性を明らかにする分析モデル (柳モデル*2) を利用し、創業者精神に基づくESGの取り組みと企業価値の間に正の相関関係があることが明らかになりました*3。今回分析に用いた約270項目に及ぶ非財務データのうち多数の項目が企業価値と関係することが判明しています。例えば、研究開発費1%増加時に7年後のPBRが+1.4%、CO2排出量1%減少時に8年後のPBRが+1.0%などの関係性が出ています。
今回の分析は相関関係を明らかにしたものであり、因果関係を証明したものではないものの、定性面として当社が特定した重点取り組みテーマとも結果が整合する部分が多いことからも、一定の関係性があると考えています。
今後も分析を継続し、これらの関係性をより明らかにして行きたいと思います。

  • *1出所:経済産業省 「ESG投資に関する運用機関向けアンケート調査」(2019/12)
  • *2出所:非財務資本とエクイティ・スプレッドの同期化モデル:“CFOポリシー (中央経済社2020)”, 柳 (2020)
  • *3分析実行:アビームコンサルティング株式会社

創業者精神に基づく当社グループの活動が、定性面に加えて定量データに基づく分析の側面からも企業価値向上に繋がることが明らかになりました。
当社グループでは、このようにESG (非財務) の取り組みがどのようにReturn (企業価値) に関係しているかを定量的に表す取り組みを行なっています。

Q.中長期成長戦略テーマと企業価値の関係性についてお聞かせください

中長期成長戦略で掲げたテーマの一つである「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」については、今回の分析結果からも企業価値を向上させる取り組みであると確信しています。
また「新規事業の推進」についても、今回の分析で「研究開発費」への費用投下や「社会課題に貢献する商品の創出数」が中長期的に企業価値向上に寄与するとの結果が出ていることからも当社の企業価値を向上させる取り組みであると考えています。
ESGと企業価値の関係性分析についてはまだ取り組みが始まったばかりですが、今後も継続的に取り組むことで、CSV経営の高度化を目指していきます。

当社グループの重要経営指標であるEPSとPERをターゲットにした独自分析では、ESGアクションと 企業価値の相関性 (Correlation) に加えて「ESGアクション同士の相関性」を分析することで、 どのような経路を辿り企業価値の向上に繋がるのか、ストーリーの形で明らかにする試みを行いました。

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