プロジェクトストーリー『ごろっとグラノーラ』 誕生と進化の軌跡

2014年3月、これまでにない「味や食感の変化」と「食べごたえ感」を前面に打ち出して
市場に投入した『ごろっとグラノーラ』は、発売直後から大ヒットを記録。
今では朝食市場を代表する定番品として、確固たるポジションを占めている。
登場から瞬く間に日清シスコの新たな柱へと成長した『ごろっとグラノーラ』は、どのような背景のもとに生まれ、
進化を遂げてきたのか。その舞台裏について紹介する。

※本コンテンツの内容・写真は取材当時の内容です

「消費者が本当は何を求めているのか?」
先を読み、導き出した答えは

1963年の『シスコーン』発売以来、日清シスコは日本におけるシリアルのパイオニア企業としてマーケットを牽引。半世紀以上を経た今日でも、『シスコーン』はコーンフレークの売上個数No.1ブランドとして君臨している。そしてシリアルの中でも近年特に成長著しいグラノーラ市場では、2009年9月から発売開始した『GooTa』シリーズが、“具がたっぷり”という明確な特長を武器に多くのファンを獲得。着実に売上を伸ばしてきた。しかし、シェアの多くは、長らく競合他社に握られており、「カテゴリーNo.1をめざせ」を行動精神に掲げる日清食品グループの一員としては、それを打破するための画期的な新商品の開発が求められていた。

そこで2013年夏、マーケティング部は新しい商品コンセプトの手がかりをつかむべく、本格的な消費者調査を実施した。同部でシリアル商品を担当する杉本和久によると、グラノーラ市場は、当時はまだ大人向けの新しい朝食として根付き始めた段階であったという。

「そこで徹底的な調査を通じて、消費者がグラノーラに対し“本当は何を求めているのか”を浮き彫りにしようと試みたのです。その結果、グラノーラの“食”の価値として浮かび上がってきたキーワードが、具材や生地の“ごろごろ感”でした。小さい具材がバラバラと入っただけのものより、見た目に存在感のある“ごろっとした”ものの方が食べ応えがあり、いろんな食感が味わえて楽しいという声が多かったのです。」

具材の多さから“ごろっとした存在感のあるグラノーラ”へ。めざす方向性は決まった。

“ごろっとした存在感”の実現に向けて掲げた3つの開発テーマ

開発部門は、マーケティング部から依頼された“ごろっとした存在感”という感覚的なイメージを具現化するため、テーマを3つに定めた。1つ目は、生地でごろごろ感を出すこと。2つ目は、その生地の口溶けを良くすること。そして3つ目は、ごろごろ感のある果実を調達することである。担当したのはシリアル開発のベテラン・野口勇飛であった。

まず、1つ目のごろごろ感のある生地作りについては、自社で古くから培った製造技術を応用し、ほどよく固まった生地を作り出すことに成功した。

「生地を固める原材料にも山ほど種類があるため、ほどよく固めるために何度も試行錯誤しながら、最適な材料を選び出しました。また、結着した生地を量産化できる製造ラインが社内になかったため、工場と密に連携を取りながらラインに改造を加えました。発売直前まで調整を続け、納得いく品質の商品を世に送り出すことができました。」

2つ目の生地の口溶けについては、“ごろごろしていても食べやすい”という難題への挑戦ではあったが、野口は過去に菓子開発を手がけた経験があり、社内にも『チョコフレーク』などを通じて口溶け技術の長年のノウハウがあるため、比較的スムーズに事が運んだ。

そして、3つ目のごろごろ感のある果実の調達については、マーケティング部からの要求を満たす仕様の原材料が国内で流通していなかったため、資材部と共に何度も海外へ飛んだ。

「理想とするごろごろ感を出すため、果実のサイズや切り方など、こちらの細かいこだわりを現地で直接伝える必要があったのです。」

オンリーワンの価値を伝えるため、
新たなブランドで勝負に挑む

マーケティング部は、開発部門と二人三脚で試作を進める一方で、この新商品を世に出すに当たって、ある “重大な決断”を下した。“ごろっとした存在感”で勝負をかける以上、“具がたっぷり”を前面に出した既成ブランドを使わず、全く新しいブランドを立ち上げるべきだと考えたのである。

「『GooTa』が安定した支持を受けていた中、ブランド変更は大きな賭けでした。それでも、新たな価値をお客様にダイレクトに伝えるためには、手堅さよりも大胆なチャレンジこそが必要だと思ったのです。」(杉本)

主力商品のブランド変更は、全社レベルの重要事項であり、マーケティング部の一存では決められない。最前線の売場で熾烈な戦いを繰り広げている営業部門からは、『GooTa』の“ごろっとバージョン”でも良いのでは?との慎重論も上がった。それは、安定した売上を稼ぎ出す優良ブランドを大切な資産と考えるなら、至極当然の意見であった。しかし、新しいブランドで思い切った勝負をかけ、No.1をめざそうという想いが、最終的には全社の気持ちを一つにまとめ上げた。

2013年の10月も終わりに近づいた頃、新しいブランド名が『ごろっとグラノーラ』に決まった。