これまでの常識を破壊した
“第3のカレー”として大ヒット
これまでの常識を破壊した
“第3のカレー”として大ヒット
日清食品株式会社 マーケティング部第7G ブランドマネージャー 2017年入社
中村 圭佑
社員の所属は取材当時のものです。

- THEME 01 -

誕生の経緯

時代の変化を見極め
カップライス事業に再挑戦

「カレーメシ」を代表とするカップライス事業の成功は、長年にわたる当社の悲願でした。
実は「カップヌードル」発売の4年後である1975年には「カップライス」が生まれていたのですが、なかなか売上が伸びず、一時撤退しています。理由は時代背景にありました。大家族世帯が中心だった当時、「ご飯は家で毎日炊くもの」という意識が当たり前の社会に「カップライス」は早すぎたのです。
しかしその後、時代の変化によって訪れた大チャンスを、日清食品は見逃しませんでした。2000年代に入ると一人暮らしなどの単身世帯が増え、毎日ご飯を炊く習慣のない人も多くなったのです。そこで2009年から、当社は「GoFan」「カップヌードルごはん」といった商品でカップライス事業を再開します。そして2014年、「カレーメシ」が誕生しました。はじめは電子レンジ調理だったのですが、即席麺事業で培った当社の技術を応用し、2016年に湯かけ調理へとリニューアルしました。このリニューアルからわずか1年で、売上は2倍に増えました。「カップ麺」が浸透していた日本社会において、お湯さえあればどこでもおいしいカレーが食べられる「カレーメシ」は、より身近な存在になったのです。

- THEME 02 -

困難と、解決への道

消費者の声をヒントに
“第3のカレー”へと進化

成功と失敗の数を数えれば、失敗の方が多かったのではないでしょうか。もちろんカップライス事業に再チャレンジするまでの道のりも長かったですが、「カレーメシ」がヒットするまでにも大きな苦労がありました。
実は「カレーメシ」には、前身となった商品があります。2013年に発売した「カップカレーライス」です。パウダー状のルゥとごはんが混ざった商品なのですが、消費者から「カレーとごはんが最初から混ざったものをカレーライスとは呼べない」という厳しいご意見を頂きました。「ではどうすれば受け入れてもらえるのか……」私たちは頭を抱えた末に、商品コンセプトから見直しました。翌年の2014年には、「ルゥでもレトルトでもない、第3のカレー」というコンセプトで「カレーメシ」を誕生させました。それまでのカレーとは全く異なる新しい存在、「カレーライス」ではなく「カレーメシ」になったのです。
「カレーメシ」のヒットには、歴代の担当者が持っていた“諦めの悪さ”も欠かせませんでした。創業者の安藤百福は、「カップライス」を一時撤退させたとき「必ず日の目を見る商品だと信じて疑わない」という言葉を残したといわれています。有言実行、当社はカップライス事業を成功させるという夢を叶えました。

- THEME 03 -

成功した理由

技術力、ユニークさ、スピード感
日清食品の武器が生み出した大ヒット

「カレーメシ」の成功には、日清食品の強みがとてもよく表れていると思います。
まず一つ目は、技術力です。「カレーメシ」のお米には、即席麺事業で培った技術やノウハウが応用されています。麺とお米という違いはありますが、長年の研究の積み重ねがあったからこそ、お湯をかけるだけでふっくらとしたごはんになるお米を開発できました。
二つ目は、マーケティング力です。「カレーメシ」は、カレーライスのようでカレーライスとは違う、それまで世の中になかった全く新しい商品です。「カップヌードル」が一般的なラーメンとは違う存在として世の中に受け入れられたように、「カレーメシ」も一般的なカレーライスとは別物として受け入れてもらう工夫が必要でした。そこで生まれたのが、「理解不能な新しさ」というコンセプトです。それから現在まで、数多くのカオスな世界観のクリエイティブを生み出し、多くの方々に興味を持ってもらい、「カレーメシ」のファンになっていただきました。
最後の三つ目は、スピード感です。2013年の「カップカレーライス」誕生からわずか1年で、全く違う商品の「カレーメシ(レンジ調理タイプ)」へとリニューアルし、さらにそこからたった2年で湯かけ調理へと進化させています。これは一般的に考えれば、なかなかできないスピード感ではないでしょうか。「一刻も早く良いものへと変えよう」というマインドと、社内のチームワークが生み出した底力だと思います。

- THEME 04 -

「カレーメシ」は
人類をどうHAPPYにできるか

「地球上のどこでもカレー」
カレーの常識を破壊

実は、「カレーメシ」はキャンプシーンでも高い支持を得ています。特にソロキャンプが注目されている近年、お湯さえあればどこでもおいしいカレーが食べられる「カレーメシ」を持参する方が増えているようです。
一般的なカレーのように、野菜を切って炒めて茹でてご飯を炊いて……という工程は「カレーメシ」にはありません。食材も食器も必要なく、カップひとつで地球のどこでもおいしいカレーが食べられる「カレーメシ」は、カレーの常識を破壊した商品だと言えるのではないでしょうか。
「地球のどこでも」といえば、実は「カレーメシ」のCMをセルフパロディした日清食品グループのCMが、インドやブラジルで放映されていたことをご存じでしょうか?「カレーメシ」の広告表現がとても汎用性の高いフォーマットであったため、現地での販売商品用にアレンジして放映し、大きな話題となりました。さらに今度は、そのパロディを日本に逆輸入し、「カップヌードル カレー」のCMまで作ってしまいました。
そう考えると、「カレーメシ」は当社で四つの大切な思考としている「CREATIVEであれ!」「UNIQUEであれ!」「HAPPYにしろ!」「GLOBALにいけ!」を全て体現している代表的な商品ではないかと考えます。

- THEME 05 -

今後の展開

カレー界の「カップヌードル」
のような存在へ

「カレーメシ」が目指すひとつのゴールは、「カップヌードル」のような存在になることです。ラーメンとカレーはまさに国民食の双璧をなすメニューですが、「カップヌードル」と同じように、お湯だけでカレーが食べられる時代が来ました。しかし、まだまだ「お湯をかけるだけでカレーができるなんて信じられない」という方も多くいらっしゃいます。そのため、この商品をもっと身近に感じてもらえるようなマーケティングができればと考えています。また“第3のカレー”として、「カレーライスではなく、カレーメシが食べたい」と思っていただけるような、「カレーメシ」のファンをもっと増やしていくことにも取り組んでいきます。
世の中をよりHAPPYにするマーケティングを今後も続けることで、「カレーメシ」を数百億円規模のブランドへと成長させるつもりです。カップライス事業は、創業間もない頃から幾多の困難を乗り越えてきました。多くの先輩社員の努力の結晶とも言える「カレーメシ」を、今後もしっかり育てていきたいです。