PROJECT STORY

カップヌードル50周年マーケティング施策

甲子園球場2.6個分(約10万m²)という広大な敷地を持ち、
1年間で最大10億食もの製品を生産することが可能な、国内最大級の食品工場である関西工場。
建設に携わった社員が想いを語ります。

MEMBER

松尾 大輔
関西工場 製造課 課長
2005年入社
松尾 大輔

入社後、滋賀工場製造課に配属され、7年間各製造工程にオペレーターやリーダーとして携わり、その後、米国日清のランカスター工場に2年半、ガーデナ工場に1年半勤務。帰国後に静岡工場の製造課を経て、2016年より関西工場の立ち上げに参画。

阿部 博斗
関西工場 製造課
2016年入社
阿部 博斗

入社後、滋賀工場製造課で2年間、カップヌードル製造ラインの包装工程、油熱工程のオペレーターを担当。その後、関西工場の立ち上げに資材供給担当として参画する。立ち上げ後は、原価計算や生産計画の調整担当、包装工程オペレーターなどを担当している。

PROLOGUE

2016年9月からスタートした、関西工場の立ち上げプロジェクト。1年間で最大10億食の生産をすることができる国内最大級の食品工場であり、最新鋭設備とIoT技術による省人化を実現する設備にも注目が集まった。立ち上げにあたり、どんな苦労ややりがいがあったのか。プロジェクトに携わった2人に話を聞いた。

PROLOGUE

関西工場の立ち上げに至った背景、
2人の具体的な業務内容を教えてください。

  • 松尾

    日清食品の新工場建設は、1996年の静岡工場以来でした。製造ラインの導入程度であれば、各工場の製造課のメンバーと研究所の技術開発部が業務内で行うことが多いのですが、関西工場は規模も大きく、日清食品として初めてのIoT技術導入に挑戦する案件でした。プロジェクト化され、建築や設備導入の知見を持つ技術開発部や、工場サイドの動きを熟知する製造課、本社管理機能を持つ生産部から数名集められ、私も参画することになりました。

  • 阿部

    私は入社3年目になるタイミングで、プロジェクトに参画しました。プロジェクトが立ち上がって2年ほど経っていたので、建物はある程度完成されていましたが、設備導入はまだ完了していない状態でした。

  • 松尾

    阿部さんが入ってきた頃にはプロジェクトメンバーが20人ほどに増えていましたが、立ち上げ当初はたったの4人でした。私はあらゆる設備の導入を担当し、製造ラインの設備はもちろん、天井の材質から床の色、食堂のメーカーの選定まで多岐にわたりました。既存の工場で使い勝手の悪い動線やレイアウトを参考に、「いかに働きやすいか」についてメンバー間で議論を進め、より良い工場を目指していきました。大枠ができてきたところで滋賀工場から阿部さんが来てくれました。

  • 阿部

    それまで滋賀工場で製造ラインのオペレーターを経験してきましたが、関西工場には見たこともない設備が多くて、備品も初めて扱うものが多くありました。最初の半年間は、新設備の仕組みを学びながら備品の発注や予算管理をしていました。その後は生産ラインや周辺設備の稼働テストを担当するようになりました。

PROLOGUE

関西工場の特長や強み、立ち上げにあたって
こだわったポイントを教えてください。

  • 松尾

    関西工場では、新たな製造実行システム「MES(Manufacturing Execution System)」を導入しており、製造工程でのあらゆる情報をデータ化して管理しています。この基幹システムによって、様々な設備の自動化に繋がっています。

  • 阿部

    私が担当していた部門では、資材運搬用に「AGV(無人搬送車)」を導入しました。人の手を介さず、生産ラインまで必要な資材を自動搬送してくれる設備で、「MES」を活かした関西工場ならではの強みになっています。

  • 松尾

    ただ、「MES」の導入は、一筋縄ではいきませんでした。前例がないからこそ、「日清食品の生産体制に合致するシステムとはどんなものか」が明確にならず、数あるシステムの中からの選定が困難だったのです。まず取り組んだのは、各工場でのモノや情報の流れ、チェック方法をフロー化して整理することでした。約半年かけて、属人化していた作業やノウハウをすべてヒアリングしていきました。システム導入後に現場で困ることがないよう、あらゆるケースを網羅した仕組みづくりにこだわり抜きました。

  • 阿部

    システムベンダーや設備メーカーとのやりとりはかなり密に行っていましたよね。無人搬送車の導入に向けては、実際に生産ラインに合わせてミスなく供給ができるか、テストを何度も行いました。生産数が増えても搬送能力に問題はないか、不具合があれば一つひとつ原因を探って解決していかなければいけません。複数の取引先と改善に向けたやりとりを重ねていきました。

  • 松尾

    振り返ると、あらゆる設備を設計するヒントは自分自身の「現場経験」からだったのかもしれません。品質や効率化も重視しながらも、新設備を導入することによって、現場が働きやすくならなければ意味がありません。自分自身がオペレーターとして働いていた時に解決が出来なかった課題や先輩が抱えていた不満を思い返し、彼らが喜ぶ顔を思い浮かべながら設計する「現場目線」を大切にしていました。

PROLOGUE

関西工場プロジェクトに携わったことで、
どのようなやりがい、成長実感がありましたか。

  • 阿部

    設備が入っていないまっさらな状態だった工場に生産ラインが入り、稼働できるようになったときには、「ついに立ち上がったんだな」としみじみ感じましたね。資材供給に向けてオペレーション業務を整理するところから始まり、無人搬送車が自立して運搬し、具材やスープなどを生産ラインに供給運用できるようになりました。資材を機械に投入する人の作業がなくなり、衛生面でも安全面でも、リスクの最小化につながりました。資材供給工程の無人化は、このプロジェクトでの大きな成果の一つだったと思います。

  • 松尾

    関西工場が完成した2019年には、取引先などを招待したセレモニーを行いました。一つの節目を迎えられたことには安堵したものの、現場ではまだまだやるべきことがたくさんあって、達成感に浸っている場合ではない…というのが正直な気持ちでした。品質の良いものを、効率よく生産するために“完成”はありません。

  • 阿部

    関西工場では、今後も新しく生産ラインが立ち上がる予定になっています。現在私は生産ラインの立ち上げに向けて、検査カメラの導入や、製造設備の詳細検討などの業務を担当しています。立ち上げ時のプロジェクトに携わったことで、製造全体の流れが理解できるようになり、自分なりの意見やこだわりを持てるようになりました。

  • 松尾

    阿部さんとは入社3年目のときから一緒にプロジェクトを進めてきたので、そうした頼れる仕事ぶりを見ていると、成長したなぁとうれしくなりますね。

PROLOGUE

今後のキャリアの中で達成したいこと、
日清食品が目指す未来の生産のあり方とは。

  • 阿部

    関西工場には改善すべき点もまだまだあります。若手の頃から立ち上げに携わらせてもらったからこそ、課題を実感することができています。例えば、設備の安全性をもっと向上できることがあったのではないか…と思うことがあります。関西工場での経験を活かして、今後チャンスがあれば、新工場設立に最初から携わりたいですし、海外でもそうした経験を積んでいきたいと思っています。

  • 松尾

    関西工場では、常時数万点のデータを各工程から収集・保存していますが、こうしたデータを有効活用した取り組みには、まだまだ十分ではないです。例えば、季節変動や外気温、湿度に応じた小麦粉と水の分量や配合などは、各工程のオペレーターが職人技のように細かく調整して成り立っています。これらをデータ活用し数値化できれば、現場の属人化を脱して、さらに安定した品質の製品供給が可能になるでしょう。ただ、そこにはかかるコストやパワーがあるので、人がすべきところと、IoT化で実現すべきところのバランスが重要だと考えています。食品工場では、衛生面から毎日の清掃が欠かせませんが、全工程の完全自動化設備では今のようなレベルの清掃は難しいのが現状です。効率的な生産のためのバランスを考えることが、これからもテーマになっていくと思います。

  • 阿部

    数年後には、現在導入している検査カメラの判定をAIがする…なんてことができたらいいかもしれません。ちゃんと具材が入っているか、麺に汚れが付着していないかなど、人による検査と同水準の判別をAIが瞬時にすることができれば、技術導入にも価値が生まれますよね。

  • 松尾

    今後も、機械化・自動化できることはまだまだあります。また、あえて機械化せず、人が作業する工程をより効率的なレイアウトに変更するなど、生産技術職としてできることはたくさんあります。さらなる「安全」「安心」を追求する工場を目指し、関西工場はこれからも進化し続けていきます。