日清食品グループ

リセット

人権

人権方針の策定

日清食品グループは、創業者精神「食為聖職」(食の仕事は聖職であり、人々の健康と世界の平和に貢献していかなければならない) のもと、当社グループの事業活動が影響を及ぼす全ての人の人権を尊重しています。2018年4月には「日清食品グループ人権方針」を策定するとともに、「日清食品グループ倫理規程」の行動規範を改訂し、「国際的に認められた人権の保護基準を支持するとともに、全ての人の基本的人権を尊重し、個人の尊厳を傷つける行為は行わない」ことを定めました。

人権尊重推進体制

日清食品ホールディングス代表取締役社長・CEOを委員長とする「サステナビリティ委員会」の傘下に「人権ワーキンググループ」を設置し、人権尊重に関する施策を講じています。

「サステナビリティ委員会」の組織体系

経営層への報告体制

人権リスクの特定とデューデリジェンス

日清食品グループでは、人権に配慮した事業活動を推進するため、人権デューデリジェンスを実施しています。国連が策定した「ビジネスと人権に関する指導原則」の手順に従い、「人権への負の影響評価および課題の特定」「適切な措置の実施」「モニタリング・追跡評価」「情報開示」に取り組んでいます。
2019年度には、「人権への負の影響評価および課題の特定」のため、「人権リスクアセスメント」(事業活動が人権に及ぼす潜在的なリスク評価) を実施しました。その結果、当社グループが優先的に取り組むべき人権テーマとして、「国内のグループ会社で働く外国人労働者の職場環境の把握」と「アジア地域におけるサプライチェーンマジメント体制の強化」を特定しました。

「人権リスクアセスメント」の手順

ステップ1
当社グループが事業を行う全ての国・地域の自社従業員、女性、子ども、移民労働者、地域コミュニティ等を対象に、強制労働、児童労働、差別、人身取引、森林破壊、大気、水質等の環境汚染による人権リスクを調査し、潜在的な人権課題を幅広く抽出しました。
ステップ2
抽出したテーマに関連する部署 (日清食品ホールディングスの資材部、人事部、コンプライアンス委員会、経営企画部、広報部サステナビリティ推進室) が参加するワークショップを開催し、ヒアリングや討議を通じて社会に及ぼす影響度を評価しました。
ステップ3
ステップ2の結果、優先的に取り組む人権テーマとして、「国内のグループ会社で働く外国人労働者の職場環境の把握」と「アジア地域におけるサプライチェーンマジメント体制の強化」を特定しました。このテーマ下における実態を調査する際の仕組み作りが必要と判断しました。

特定した人権リスクと取り組み状況

1. 国内のグループ会社で働く外国人労働者の職場環境の把握

外国人労働者の職場環境を把握するため、第三者機関※1の協力のもと、製造工場の外国人労働者への匿名アンケート調査を実施しました (実施時期:2020年6月、2021年2月、2022年2月、計9工場、229名) ※2。
本調査の結果、移民労働者に関する国際規範「ダッカ原則」※3に違反する重大な事案は確認されませんでした。しかし、言語や文化の違いなどにより、外国人労働者が疎外感を抱く事案が見受けられ、人権に負の影響を与える可能性と人権リスクの低減および予防に向けた対策の必要性を再認識しました。
今後も、外国人労働者に重要情報を明示するため、入社時に契約書の読み合せをしたり、給与明細書の各項目をわかりやすく表示するといった対応策を講じていきます。
採用体制に関しては、多様な関係者との連携が必要と判断し、2021年1月に「責任ある外国人労働者受け入れプラットフォーム」※4に加盟しました。本プラットフォームを活用し、公的機関と連携しながら採用における仕組みづくりを取り組んでいきます。
また、外国人労働者が会社に意見を伝えやすくするため、勤務先の相談窓口や内部通報窓口、匿名および母国語での投函が可能な意見箱の存在を定期的に周知し、その活用を促しています。今後も、外国人労働者が相談やコミュニケーションをしやすい仕組みづくりと、働きがいのある職場環境の整備に努めていきます。
なお、日清食品ホールディングスは「日清食品グループ人権方針」に基づき、「国民生活産業・消費者団体連合会」※5が定める「外国人の受入れに関する基本指針」に2022年から賛同しています。

外国人の受入れに関する基本指針

  • ※12020年6月のアンケートは「経済人コー円卓会議日本委員会」、2021年2月のアンケートは「一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サスティナブル・サプライチェーン」の監修のもと実施。
  • ※2対象者は、2020年6月は日清食品 (関西工場)、四国日清の製造工場で働く外国人労働者60名、2021年2月は日清食品 (静岡工場)、日清化成 (関東工場、関西工場、滋賀工場) の製造工場で働く外国人労働者87名。2022年2月は日清食品の製造工場 (関東工場、滋賀工場、下関工場) で働く外国人労働者82名。2020年6月と2021年2月の調査対象者の在留資格は特定技能1号、技能実習生、永住者あるいはその配偶者等。2022年2月の調査対象者の在留資格は、特定技能1号、永住者あるいはその配偶者等。
  • ※3イギリスの「人権とビジネスに関する研究所 (IHRB)」が2012年に策定した「尊厳ある移民のためのダッカ原則」。「ビジネスと人権に関する国連指導原則」と「国際人権基準」に基づき10の原則を定めている。
  • ※42020年11月に独立行政法人国際協力機構 (JICA) 主導のもと、官民連携によって設立された団体。5つの行動原則を定めている:
    1. 外国人労働者の受入れに当たり、関係法令を遵守します。
    2. 外国人労働者の人権を尊重し労働環境・生活環境を把握し、課題の解決に努めます。
    3. 働く場と生活の場の両方で、外国人労働者との相互理解を深め、信頼関係を醸成します。
    4. 日本及び国際社会の発展と安定に貢献するため、外国人労働者の能力開発に尽力します。
    5. プラットフォームの取り組みを日本国内及び世界に発信していきます。
    上記の行動は、上記の行動は、私たちの企業・団体自身の取り組みのみならず、サプライチェーンや関係する企業・団体にも積極的に働きかける。
  • ※5「国民生活産業・消費者団体連合会 (生団連)」は、企業や業界団体、消費者団体、NPO法人などで構成され、国民の生活と生命を守るために、政府や行政への提言、国民への情報発信活動を行う団体。
    国民生活産業・消費者団体連合会 (生団連)
2. 「アジア地域におけるサプライチェーンマネジメント体制の強化」

2020年6月~11月にかけて、当社のサプライチェーン上に位置すると考えられるパーム油小規模農家に対してアンケートおよび (オンライン) ダイアログを実施しました。

サプライヤーへの対応

当社グループが使用する原材料の中には、人権や労務環境に関わる問題が潜んでいるものがあることから、そうした原材料を提供するサプライヤーを「持続可能性リスクが高いサプライヤー」と位置付けています。なお、取引先監査の中では、「人権」に関する項目も確認しています。持続可能性リスクが高いと判断したサプライヤーには、日清食品ホールディングス 資材部とサステナビリティ委員会のメンバーが現地を訪問し、国際基準に基づいたアセスメントを実施する予定です。

社員への啓発

人権方針や人権尊重の考え方を日清食品グループの経営層および社員に浸透させています。特に、セクシャルハラスメントとパワーハラスメントの防止を重要テーマに掲げ、毎年実施しているコンプライアンス研修の中で、対応策や内部通報制度について紹介しています。さらに、2019年度は国内グループ会社の全役員・管理職者向けに多様性を生かした組織作りの阻害要因となりえる「アンコンシャスバイアス (無意識の偏見)」の概念を学び、その対処方法を議論する研修を開催するとともに、日清食品ホールディングスの経営層向けに外部講師による人権に関する講演会を開催しました。

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