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CSOメッセージ

国内即席めん事業で培ってきた
「強み」をグローバルに、
そして他領域に横展開し、
持続的な成長を実現していく

国内即席めん事業で培ってきた「強み」を
グローバルに、そして他領域に横展開し、
持続的な成長を実現していく

日清食品ホールディングス株式会社
常務執行役員・CSO

西川 恭

改善すべき構造的課題を見いだした一年

CSOとして2025年度を振り返ると、計画未達という厳しい結果を率直に受け止めるとともに、その背景にある構造的な課題を明確にできた一年だったと捉えています。

中でも最も大きな課題は、事業ポートフォリオの観点で成長余地の大きいグローバル市場で十分な成果を上げられていない点です。その要因は、日本で培ってきたマーケティング力やフードテックといった強みを十分に活かし切れていないことにあります。

グローバル展開にあたっては、カップヌードルに代表される商品のコンセプトを現地に持ち込んで、現地で調達できる材料で、現地の消費者に支持される味を作り込み、現地で生産して売ってきました。すなわち「地産地消」を原則としてきました。この考え方は間違っていないし、これからも続けていきます。こうしたグローバル展開をリードしたのは、日本からの駐在員でしたが、徐々に、「現地市場を知る現地の社員に任せることで、主体性と当事者意識を高める」方向にシフトしてきました。そしてこれも間違っていないし、これからも進めていくべきなのですが、グローバル展開を次のステージに進めていくにあたって、「日清らしさ」を消費者の皆様に十分お届けしていくために、日本からのノウハウ・技術の横展開の在り方について、今一度考えてみたいと思います。一方、国内市場については、成熟化や人口減少が進むなかでも、当社グループにはなお成長余地があると考えています。即席めんでは日清食品と明星食品を合わせて高い市場シェアを有し、非即席めん事業も売上規模を着実に拡大しています。強固な事業基盤を土台に、高付加価値化やさまざまな世代に向けた商品の展開を強化することで、さらなる成長を目指します。

日本で培った強みを臆せず発揮することが、グローバル成長を実現するカギ

グローバルで見れば、「革新的なプロダクト」と「大胆なコミュニケーション」という国内で培った「勝ち筋」の横展開が奏功している地域も少なくありません。その好例がブラジル市場です。独資化後、日本風の大胆なマーケティングを展開しており、直近でもマーケティング動画の一つが視聴回数1,200万回以上という大きな反響を呼び、ブランド価値の向上に貢献しています。ブラジルの即席めん市場ではいまや食数で65%、金額で77%という非常に高いシェアを有しており(2025年度実績)、売上収益CAGR(年平均成長率)は13.0%(2016~2025年度)の成長を続けています。ブラジル以外では欧州でも、カップ焼きそば「Soba」を投入し、高い成長を見せています。「Soba」は「黒地に筆文字」という日本風のパッケージデザインにより欧州の消費者に強いインパクトを与え、日清ブランドの存在感を高めました。こうした成功体験は、後述するこれから投入する新ブランドにも引き継がれており、今後の世界戦略を考えるうえで大きなヒントになっています。

日清食品ホールディングス株式会社常務執行役員・CSO 西川 恭
日清食品ホールディングス株式会社常務執行役員・CSO 西川 恭

これらの成功例からもわかるように、海外だからといって現地の嗜好に合わせることがすべてではなく、当社ならではのクリエイティビティを大胆に発揮することが重要です。近年、本格的な日本式ラーメンの人気が高まっており、日本を訪れる旅行者が有名ラーメン店に行列をつくるなど、高い注目を集めています。米国を例にとってもラーメン専門店が急増するなど、市場は拡大しつつあります。一杯当たり3,000~5,000円といった価格帯で提供されるなかで、お店の味を家庭で手軽に楽しめる「日本式即席めん」を提供できれば、マス市場へと広げていけるはずです。

K-POPなどの人気を背景に韓国発の即席めんがグローバルで存在感を高めるなか、「日本式即席めん」はいまだホワイトスペース(空白地帯)のままです。そこで、「日清日本式即席めん」を展開し、日本式ラーメンの価値を前面に打ち出していきます。米国に続いて、ブラジルや欧州での展開も考えています。さらに、インバウンド需要の高い国内有名店とのコラボレーション商品の展開などのアイディアも実現してまいります。

グローバル展開の新たなステージ「グローバル化2.0」へ

安藤百福が「インスタントラーメンを世界に広めたい」との思いから、欧米視察に行ったことが、カップヌードルの発明のきっかけになったというエピソードがあるように、日清食品グループにとってグローバル化は創業以来の目標です。これまでの数十年にわたる取り組みのなかで、実現には何が必要かを学んできました。これからは「グローバル化2.0」とも言うべき新しいフェーズに入っていきます。

具体的には、グローバル全体での原則を明確にし、「日清食品グループらしさ」という共通の考え方を全世界で共有していきます。前述したように、まずは、本社が「勝ち筋」を言語化して方向性を示し、その具体化を現地チームが担う体制を目指します。

これは、本社と現地のどちらか一方に責任を押し付けるということではありません。日本と現地が濃密にコミュニケーションを取って、課題や悩みを共有し、互いの意見をぶつけながら、一緒に仕事をする。それこそが本当の意味でのダイバーシティ&インクルージョンであり、そうした経験がなければ一つの会社にはならないと考えています。

すでに「グローバル化2.0」に向けた基盤整備は進みつつあります。中でもグローバルな横展開の司令塔となるのが、2025年12月に経営企画プラットフォーム内に新設した「グローバル戦略部」です。同部を軸に、世界各地での成功事例やベストプラクティスを、適用可能な地域を見極めながらスピーディに展開していきます。

グローバル化を担う人財育成についても、濱瀬CHROのもと、力強い取り組みが進んでいます。「グローバルに活躍できる日本人」の育成はもちろんのこと、「グローバルに活躍する多国籍の人財」の育成を進め、どんな国籍の人であっても活躍できる組織づくりを進めてこそ、本当の意味でのグローバル企業に成長していけると考えています。

もう一つの横展開、非即席めん事業とのシナジー創出へ

当社グループが持続的な成長を実現するためには、国内即席めん市場で培ってきた「勝ちパターン」を、海外市場だけでなく、非即席めん領域に展開していくことも重要です。

実際、非即席めん領域の業績は着実に伸びています。低温・飲料事業では、日清ヨークの成長などで大きく拡大し、売上収益は1,000億円規模に達しています。菓子事業も、日清シスコやぼんち、湖池屋がそれぞれ健闘しており、2026年2月に子会社化したセリア・ロイルを加えると、こちらも1,000億円規模になり、事業のサイズと利益率の底上げが進んでいます。

今後はこれら非即席めん事業と、即席めん事業とのシナジー創出を追求していきます。もちろん、即席めん事業とは商流などの事情も異なります。管理部門やIT基盤の共通・効率化といったシナジーは期待できる一方で、消費者が「日清食品グループだから買う」わけではない現実も直視しなければなりません。それでも、「知恵の使いどころ」は必ずあるはずです。例えばセリア・ロイルは、これまで外食チェーンやコンビニなど販売ルートを絞ることで効率的に販売を拡大してきました。その基盤に、即席めん事業が築いてきた取引先との良好な関係を掛け合わせることで、さらなる販路拡大やブランド認知の向上が期待できます。加えて、同社のアイスクリームと「完全メシ」などとのコラボレーションといった商品面でのシナジーも芽を出し始めています。こうした取り組みを、他の非即席めん事業にも広げられないか、シナジー創出のタネを探求し続けてまいります。

非即席めん事業の成長軌跡と課題
中長期成長戦略

※ 出典:各社IR資料またはCapital IQにおけるセグメント情報。時点:Apple to Appleでの表示のため、売上CAGR:2024年度/2021年度実績、売上・営業利益率:2024年度実績を各社採用

食品メーカーとしての責任を、成長の源泉に変えていく

2021年度からスタートした「中長期成長戦略2030」については、足元の状況を踏まえて一部指標のアップデートはしましたが、基本的な戦略に変わりはありません。国内即席めんで培ってきた独自の強みや「勝ち筋」を、海外市場や非即席めん事業に横展開していくという戦略を、着実に遂行していきます。時代の変化に合わせて柔軟にアップデートしていくことも重要ですが、根幹となる方向性はぶらさずに、継続して取り組むことが肝要だと考えています。

環境戦略である「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」についても同様に、継続的な取り組みが重要です。さらに、サステナビリティ施策の成果がどのように企業価値向上につながるのか、その因果関係を示していくことが不可欠です。例えば、温室効果ガス(GHG)排出量の削減については、気候変動の進行が原材料の収穫減や調達コストの増加などを招く可能性を踏まえると、Scope3も含めた取り組みの強化を通じて、環境規制への対応だけでなく調達レジリエンスの向上や財務への影響の低減にもつながると考えています。こうした関係性を包括的かつ説得力をもって示すため、2021年度から、サステナビリティ活動と企業価値の結び付きを可視化する「価値関連分析」や企業が社会にもたらすインパクトを、プラスとマイナスの両面から総合的に金銭価値に換算・可視化する「インパクト会計」に取り組んでいます。

また食品メーカーとしての責任をいかに果たし続けるかという視点も欠かせません。創業当時は、戦後の栄養不足の時代に、いかに安くて安全なラーメンを提供するかが問われていました。現在では、やがて100億人を超えると言われている世界の人々の食をどのように支えていくかが問われており、こうした世界的な食のトレンドに沿う形で事業や商品をアップデートしていく必要があります。

その一例が、「完全メシ」です。近年、環境負荷を抑えながら人々の健康を最適化する食事モデル「プラネタリーヘルスダイエット」が世界的な注目を集めています。栄養面で消費者に価値提供を叶える「完全メシ」に、今後さらに環境面・公正面の価値を掛け合わせることで、多くの人の食を支えながら、持続的な成長を果たしていきたいと考えております。

もともと創業者が「食は聖職」と言っていたように、食に関わる仕事は社会的な価値がある仕事です。私たちの仕事がどう社会に役立っているか、解像度を高めていくことで、従業員にとっては働きがい、消費者にとっては商品を選ぶ理由となり、投資家にとっては投資判断の根拠にもなります。理想論に聞こえるかもしれませんが、こうしたストーリーをグローバルに描き続けることも、CSOの重要な役割だと考えています。

※ EAT-Lancet委員会が提唱する「地球環境の限界内で人間の健康を最適化するための食事モデル」

世界の食の楽しさと健康に貢献する「元気な日本企業」であり続けたい

日清食品グループは、創業者の言葉やMission・Vision・Valueに象徴されるように、しっかりとした軸がある会社です。ぶれない軸があるからこそ、失敗を恐れず挑戦することができる。それが根底にある強みだと考えています。

日清食品ホールディングス株式会社常務執行役員・CSO 西川 恭
日清食品ホールディングス株式会社常務執行役員・CSO 西川 恭

こうした強みは、私の個人的な信条である「Growth Mindset」、「人の能力は生まれつき決まっているものではなく、経験や努力によって伸ばしていける」という考え方とも合致しています。私自身、失敗を重ねるなかで成長するプロセスを楽しんできましたので、世界で活躍する従業員一人ひとりに、その楽しみを共有してほしいと思っています。先人が積み上げてきた基盤があるわけですから、失敗を恐れず、思い切ってチャレンジしても大丈夫ですし、仮に失敗しても、そこから何かを学び取ることで、新しい食の楽しさを創造していけるはずです。

こうした姿勢をグローバルに共有・徹底することで、日清食品グループは日本発の強みとテクノロジーで、世界の食の楽しさと健康に貢献する「元気な日本企業」であり続けます。株主・投資家の皆様には、引き続き期待と応援をよろしくお願いいたします。

VALUE REPORT 2026

Introduction [1.56MB]

  • グループ理念
  • 社会価値創造History
  • NISSINの今

01NISSINの価値創造 [6.27MB]

02NISSINの成長戦略 [11.9MB]

  • 成長戦略❸ 新規事業の推進
    • 「完全メシ」ブランドのポテンシャル
    • 最新トピックス
    • 最適化栄養食の基礎研究

03NISSINの経営基盤 [2.54MB]

  • 人財戦略の強化
  • 健康経営・人権への取り組み
  • コーポレート・ガバナンス
  • 取締役・監査役

データ [1.32MB]

  • 財務サマリー
  • 非財務サマリー/主な外部評価
  • 即席めんの世界市場データ
  • 会社情報・株式情報

VALUE CREATION BOOK
価値創造ブック