日清食品グループ

リセット

COOメッセージ

COOメッセージ

「食と健康」のフィールドで、日清食品グループは未来の食をリードしていく

日清食品ホールディングス株式会社
代表取締役副社長・COO
日清食品株式会社 代表取締役社長

安藤 徳隆

世の中の変化を予測することは困難
成功体験や経験則を捨て去り、本質に向き合う

今日の企業を取り巻く環境は、複雑に変化し続けています。ロシアのウクライナ侵攻や急激な円安、インフレの進行など、わずか1年の間に誰も想像していなかったような事態が起こりました。もはや変化を予測することは困難だと受け入れ、どのような状況にも対応できる準備をしておかなければなりません。こうした状況にあっては、過去の集積でしかない経験や知識だけでは、いずれビジネスは行き詰まることになります。

今、求められているのは「本質を捉える」という視点です。目の前の現象の裏側にある本質を見抜くためには、成功体験や経験則を捨て去ることさえ必要だと考えています。勇気がいる行為ですが、そもそも日清食品は常識を破壊することで誕生し、発展してきた会社です。経験や前例にとらわれていては、世界初の即席めん「チキンラーメン」が生まれることはありませんでしたし、世界初のカップめんである「カップヌードル」も同様です。創業者精神である「食創為世」(世の中のために食を創造する)は、いかなる時代や環境にあっても変わることのない私たちの価値観であり、向き合い続けなければならない本質の一つと言えるでしょう。

「100年ブランドカンパニーへの挑戦」
誕生から100年を迎えても強くあり続ける

私は2015年に日清食品の社長に就任し、二つのスローガンを掲げました。「100年ブランドカンパニーへの挑戦」と「Beyond Instant Foods」です。いずれもこれまでの成長を前提にせず、本質と向き合う意志を込めたものになります。

2023年は、「チキンラーメン」が発売65周年を迎えました。「日清焼そば」は60周年、「出前一丁」は55周年と、それぞれアニバーサリーイヤーを迎えています。また、「カップヌードル」や「日清のどん兵衛」は過去最高売上の更新を続けています。ブランドは一般的に30~40年程度で廃れると言われる中で、誕生から100年を迎えても強くあり続けるために、今何をすべきか。日清食品が有するブランドの価値をこれまで以上に高めていくことが「100年ブランドカンパニーへの挑戦」です。

長年愛されるブランドは、裏を返せば高齢化しているとも言えます。「カップヌードル」とともに過ごしてきた世代と比べれば、20代以下の消費者は思い入れが強くないでしょう。「100年ブランドカンパニー」になるためには、次世代ロイヤルユーザーの獲得に向けてブランドの鮮度を保ち続けることが最も重要な課題です。ブランドコミュニケーションでは、ユニークなテレビCM、店頭での露出強化、SNSマーケティングの三つを同時展開しています。これらを通じて若年層のマインドシェアを高め、店頭での購買につなげていくサイクルづくりに注力しています。

「Beyond Instant Foods」
新しい価値を次々と創造していく企業へ

もう一つのスローガン「Beyond Instant Foods」は、これまでにない、全く新しい食文化の創出を目指す意思表明です。「カップヌードル」をグローバルブランドに育てる方針に変わりはありませんが、インスタントラーメン一本足では、いつかは衰退していくでしょう。2020年に日清食品グループが目標としていた時価総額1兆円を達成しましたが、それを2兆円、5兆円と大きくするためには、新しい価値を次々と創造していく企業にならなければいけない。その決意を「Beyond Instant Foods」に表しています。

インスタントラーメンが生まれたのは戦後の時代、誰もが手軽に手に入る食を開発したいという創業者の思いが原点でした。それから半世紀以上を経た現在は、一部の国や地域では食べ物が廃棄されるほど飽和し、飽食の時代となっています。戦後の食糧不足から、オーバーカロリーによる肥満や過剰なダイエットによる栄養失調へと社会課題が変化しています。

このような背景のもと、当社は即席めんの開発などで長年培ってきた独自のフードテクノロジーを駆使することで、現代の食にまつわる社会課題の解決を目指しています。2022年5月には、栄養とおいしさの完全なバランスを追求した「完全メシ」ブランドを発売し、インスタントめんやカップライス、スムージー、グラノーラに加え、2022年9月からは冷凍食品の販売も開始するなど、幅広い商品ラインアップを展開しています。発売初年度にあたる2022年度は、目標としていた売上30億円を達成し、好調なスタートを切りました。今後は、当社のフードテクノロジーをパートナー企業にも拡げ、コンビニエンスストアのおにぎりやパン、スーパーのお弁当、社員食堂でのメニューなど、お客さまとのタッチポイントを増やしていく予定です。そして、2024年度に「完全メシ」を100億円ブランドへ成長させることを当面の目標として掲げています。

また、2023年7月には、「一般社団法人 日本最適化栄養食協会」が設立されました。主要な栄養素がバランスよく適切に調整された「最適化栄養食」の普及と、人類の「食によるウェルビーイング」の実現を目指すもので、設立趣旨に賛同した当社や大手小売企業、食・栄養に関する専門家が参画しています。当社も異分野や異業種との連携を模索し、「最適化栄養食」を日本発の新たな成長産業に発展させるべく、微力ながら尽力していきたいと考えています。

「EARTH FOOD CREATOR」として進化を続け、新たな食の可能性を追求していく

今ある価値を最大化し、今はない価値も生み出す。それが、創業者精神を脈々と受け継ぎ、その時代の常識を破壊してきた日清食品の使命だと捉えています。即席めんのパイオニアカンパニーとしてブランド価値をさらに高め、世界へと広げていく一方、新規事業では新しいフィールドそのものを創り上げていきます。簡単で便利でおいしいインスタントラーメンが、機能的で栄養バランスが整った商品に進化していくことが私の理想です。「最高にジャンクなのに、最高にヘルシー」という新たな価値を提供することで、世界中の人々をさらにハッピーに健康にしていきたいと考えています。

「食と健康」のフィールドには大きなポテンシャルがあり、世界中の企業がしのぎを削る激戦区でもあります。競争の激しい市場の中で、いかに未来の食をリードしていくか。重要なのは、日清食品グループの社員一人ひとりが自ら変化を起こし、変化の最先端を楽しむことだと考えます。「EARTH FOOD CREATOR(食文化創造集団)」として、これからも進化を続け、新たな食の可能性を追求していきます。

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