日清食品グループ

リセット

特集:加速する米国日清のプレミアムシフト

FEATURE

加速する米国日清の
プレミアム戦略

日清食品グループでは、中長期成長戦略2030において、海外事業のコア営業利益の構成比を2020年の30%から、2030年には45%まで高める戦略を掲げています。ここでは、2022年度に急成長を果たし、海外事業を名実ともに牽引する米国事業を紹介します。

プレミアム戦略により市場全体を牽引し、米国No.1ブランドへ

米国市場の位置づけ

2022年の米国即席めんの市場規模は
2019年対比約11%の伸長

日清食品グループは、国内では即席めんのリーディングカンパニーであり、国外でも米州地域、中国地域、アジア地域、EMEA地域を中心に世界各地で、即席めんをお届けしています。
右のバブルチャートは、世界の即席めんの総需要を表したものです。縦軸は⼀⼈当たり年間で何食即席めんを食べているのかを示しており、横軸は各地域の⼈⼝、円の⼤きさは縦軸と横軸の掛け算で算出される総需要を示しています。インドを除くアジア地域や中国地域では既に即席めんを日常的に食べる文化が根付いている一方で、米州地域やEMEA地域は、一人当たりの年間即席めん消費量はまだ低く、今後も市場の拡大が見込まれる地域だと考えています。
米国ではCOVID-19による内食需要の高まりをきっかけとして、2022年の総需要は50億食の規模まで成長し、2019年から比較し、約11%の伸長を遂げています。

世界の即席めん総需要と当社の戦略

世界の即席めん総需要と当社の戦略の図
出所:International Monetary Fund (IMF)、世界ラーメン協会(WINA )人口と2022年の総需要に基づき算出
米州地域:米国・ブラジル・メキシコ/アジア地域:タイ・ベトナム・シンガポール・インドネシア/EMEA地域:(2022年)イギリス、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、スイス、フィンランド、オランダ、デンマーク、ハンガリー、スェーデン、チェコ、ポーランド、セルビア、ベルギー、(2011年)イギリス, ドイツ,フランス,フィンランド,オランダ,デンマーク,ハンガリー,スェーデン,チェコ,ポーランド, ベルギー

米国の即席めん需要推移

米国の即席めん需要推移のグラフ

米国日清の取り組み

需要拡大とプレミアム戦略の差別化が
コロナ禍に続くインフレ下で奏功

米国では「Innovative Premium」のコンセプトを掲げ、即席めんの新しいスタイルやおいしさを追求したプレミアム商品を展開しています。COVID-19における内食需要の増加に加え、2022年度はインフレの影響もあり、比較的リーズナブルでおいしい食品としての認知度が高まり、即席めん全体の需要が拡大・定着しました。
ここ数年で米国日清が発売したプレミアム商品は、好調に推移しています。2019年度に発売した「CUP NOODLES STIR FRY」は、テイクアウトクオリティの“汁なしアジアンフレーバー”を“カップ”で楽しめるという今までにないスタイルを実現させた商品で、プレミアム戦略を加速させる契機になりました。このような取り組みのもと、プレミアム商品が売り上げに占める比率は、2018年度の29%から、2022年度には46%まで上昇しました。

米国日清の売上収益推移(US$)

米国日清の売上収益推移(US$)のグラフ

米国日清のプレミアム構成比(金額ベース)

米国日清のプレミアム構成比(金額ベース)のグラフ

CUP NOODLES STIR FRY

本格的なアジアンヌードルをレンジ調理で手軽に楽しめる、「汁なし」カップ焼きそば。フレーバーはTeriyaki BeefやKoreanBBQなどの6種類。インゲンやキャベツなどの高品質な具材で彩られ、MSG不使用。料理をしたりテイクアウトをしなくても、手軽に美味しいアジアンヌードルを楽しめることで人気です。

Top Ramen Bowl

定番の袋麺ブランドTop Ramenのカップ麺タイプ。持ち運びに便利で、電子レンジがあればいつでもどこでもTop Ramenが食べられます。具材には赤ピーマン・青ネギ・コーン・ニンジンなど、彩り豊かな野菜を使用。フレーバーは4種類で、袋めんのTop Ramenにはない、別添のソース付きで、一味違ったおいしさを楽しめます。

HOT&SPICY FIRE WOK

既存のHOT&SPICYの風味豊かな味わいに辛さをさらにプラスし、米国日清史上最も「辛旨い」インスタントラーメンに仕上げました。4種類のフレーバーにはそれぞれ別添ソースがついていて、辛さだけでなく深い旨味を味わうことができます。6段階ある辛さレベルでFire Work のフレーバーはLEVEL4-LEVEL6と刺激的な辛さを楽しめます。

CUP NOODLES STIR FRY RICE
with NOODLES

CUP NOODLESは「カップ麺」だけにとどまらない! CUP NOODLES STIR FRYシリーズの大ヒットを受けて、今度は長粒米と一口サイズにカットされた焼きそば麺の食感を同時に楽しめる、新感覚のカップ麺が新たに登場。全4種類のフレーバーには色とりどりの野菜がトッピングされ、本格的なアジアンフレーバーが楽しめます。

好業績を支える強み

競争優位性の確立に向けて

米国では、資材コスト高騰への対応と適正な価格設定による持続可能な供給体制の確立に向け、2022年に年間で40%に近い水準の価格改定を実施しました。プレミアム商品群の拡大も加わり、収益体質への構造的な転換が実現しています。
この背景の一つに日清食品グループが培ってきた「ブランド力」が挙げられます。日清食品グループは、グローバル展開に当たり、各ブランドのコアバリューを守りつつ、地域ごとに競争優位性のある独自の提供価値を明確化した上で、商品開発やマーケティング活動に取り組んでいます。また、当社グループが長年培ってきたイノベーション力も、競争優位性の重要な要素となっており、グローバル事業を力強く支えています。
日本国内で培ったブランド力やマーケティングノウハウ、開発力を海外に展開しながら、各エリアに応じてきめ細やかに生産・販売戦略を策定し、実行する――それが、この変化の激しい環境において、米国で躍進を遂げられた最大のポイントです。

米国日清 President & CEOMichael Price

イノベーティブさを強みにさらなる躍進を

2018年に米国日清の社長に就任した当時、米国日清は長年に渡る競合他社との価格競争で疲弊しており、社内の雰囲気は非常に暗い状況でした。財務状況も厳しく、事業インフラにも十分な投資ができないまま、市場シェアを失うという状況下で、従業員のエンゲージメントも低下していました。

ただ幸いなことに、我々のブランドである「Cup Noodles」や「Top Ramen」は高い認知度を誇り、米国の消費者に長年親しまれてきました。そしてさらに、即席めん分野の世界的リーダーである当社の研究開発チームは、製品開発とイノベーションにおいてまさに最高のチームといえます。ローカル従業員、そして海外駐在員といった、非常に才能ある多様な人材を活用し、事業を再建する枠組みは揃っていました。

米国日清では、利便性、アジアンフレーバーのおいしさ、そして付加価値創造に重点を置きながら、ビジネスの構築に注力することを事業課題と定義し、これに「ONE TEAM」で取り組んでいます。価格競争ではなく、消費者に楽しく、おいしく、本格的な食事を提供することを目指し、戦略転換を実行してきました。当社の商品は、即席めん市場において高価格帯で販売されていますが、自信をもって提供する価値があります。これこそが、米国日清の「プレミアム戦略」です。

従来型のベース商品とプレミアム商品の売上に占める比率は、2018年時点で、8対2の割合でした。その後「CUP NOODLES STIR FRY」や「Fire Wok」といった、新商品の販売が好調に推移し、現在その比率は、ほぼ 5対5 にまで事業構造が変化しています。この変化により、当社の財務状況は劇的に改善し、市場シェアの拡大、事業インフラおよび従業員への投資を可能としました。米国日清は、今後も長期的な成長を続けていきます。

持続的な成長に向けて

プレミアム戦略により市場全体を牽引し、米国No.1ブランドへ

米国では、即席めんの需要拡⼤とプレミアム戦略のさらなる強化を進めています。今後も高まっていく即席めん需要に対応するため、2025年を目途に、第3工場の稼働を予定しています。生産能力、事業効率を高めていくと同時に、米国No.1ブランドを目指していきます。

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