日清食品グループ

リセット

気候変動・持続可能な開発への取り組み

サステナビリティマネジメント

気候変動・持続可能な調達への取り組み

Index

日清食品グループは、人類を「食」の楽しみや喜びで満たすことを通じて社会や地球に貢献する「EARTH FOOD CREATOR」をグループ理念に掲げ、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しています。当社グループが果たすべき責任、取り組む社会課題は、食の安全管理体制の構築や環境負荷の低減、ガバナンスの確立など幅広い領域に及んでおります。

気候変動への取り組み

2020 年 6月に始動した環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」で掲げたCO₂削減目標を達成するため、日清食品グループのバリューチェーン全体でCO₂削減に関する取り組みを進めています。
2022年11月には、森林破壊などによる自然や生物多様性の減少をプラスに回復させる「ネイチャーポジティブ (Nature Positive)」に向けた活動を推進し、2050年までにCO2の排出量と吸収量を “プラスマイナスゼロ” にする「カーボンニュートラル」の達成を目指すことを宣言しました。

環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」

再生可能エネルギーの活用

当社グループは事業活動で使用する電力の再生可能エネルギー100%調達を目指す国際イニシアチブ「RE100」に2021年2月から参画しています。2030年度までに国内外の事業活動で利用する電力の60%を再生可能エネルギーで調達すること、2050年度までに国内外の事業活動で利用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に設定しています。
2022年度は東日本明星 神戸工場、相模フレッシュで太陽光パネルを導入しました。グループ全体の再生可能エネルギーの比率は2022年31.9%となっています。
また、日清食品ホールディングス 東京本社では、ごみの焼却に伴うエネルギーを用いた「ごみ発電電力」を使用しています。「ごみ発電電力」による発電量は日々変動するため、当社に供給される電力量にはバラつきがありますが、東京本社で使用する電力量の50%以上を調達しています。

NISSIN FOODS (THAILAND) CO.,LTD.の工場で設置されている太陽光パネル

製品を通したCO₂排出の削減

カップヌードルブランドの容器には、従来の「ECOカップ」が備えていた断熱性や保香性を維持しながら、石化由来のプラスチックを植物由来のバイオマスプラスチックに一部置き換えた「バイオマスECOカップ」を採用しています。これにより石化由来プラスチック使用量を約半減、ライフサイクルで排出されるCO₂排出量を約16%削減しています。
具材でも、動物性たんぱく質(豚肉など)と比較して、生産過程におけるCO₂ 排出量の少ない植物性たんぱく質(大豆など)を多く含む「謎肉(肉と大豆由来の原料に野菜などを混ぜて味付けしたミンチ)」を使用した製品ラインアップを拡充しています。また、東京大学生産技術研究所と畜産に頼らない培養肉の開発および実用化を目指した協同研究を進めています。
さらに2021年6月には、「カップヌードル」の「フタ止めシール」を廃止し、シールがなくても止められる新形状のフタ「Wタブ」を採用しました。これによりプラスチック使用量を年間33トン削減しています。

バイオマスECOカップ

気候変動

持続可能な調達への取り組み

日清食品グループは、2007年5月に「グリーン調達基本方針」を制定し、環境に配慮した原材料の調達を推進しています。
また、トレーサビリティ体制のさらなる構築を目指し、2017年9月には地球環境と人権が尊重され、合法的に生産された原材料の調達を進めていくことを掲げた 「日清食品グループ持続可能な調達方針」を制定しました。本方針の実現にはサプライヤーの協力も重要であるため、一次サプライヤーにも当社グループの調達方針を周知し、内容を確認したことに対する署名を得ています。
当社製品の主要な原材料の中でも、特にパーム油(アブラヤシから採れる植物油)は一部の農園・搾油工場(ミル)で森林破壊や農園労働者の人権侵害などの問題を抱えていることが指摘されており、当社グループではパーム油の持続可能な調達に向けて重点的に取り組みを進めています。

パーム油の持続可能な調達

日清食品グループの環境戦略「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」では、「持続可能であると判断できるパーム油調達の比率を2030年度までにグループ全体で100%」にすることを目標に掲げており、できる限り早期に達成できるよう取り組んでいます。また、国内即席めん事業については、「持続可能であると判断できるパーム油調達の比率を2025年度までに100%」を目標としています。
さらに、2022年5月にはNDPE方針※1を含む「持続可能なパーム油調達コミットメント」の遵守に向けた取り組み指針を策定しました。同時に、搾油工場(ミル)のトレーサビリティ向上を目指し、サプライヤーの名称や所在地(位置情報)を集約したパーム油のミルリストを公開しています。今後は、トレーサビリティ確保の範囲をアブラヤシ農園まで拡大するほか、森林・泥炭地破壊のリスクが高い地域を中心とした森林フットプリント※2の導入を目指していきます。

  1. NDPE(No Deforestation, No Peat, No Exploitation = 森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)
  2. 企業のサプライチェーンや金融機関の投融資先の事業が影響を与える森林と泥炭地の総面積
サプライチェーンでの取り組み指針

アブラヤシ小規模農家とのダイアログ

日清食品グループでは、取引の立場上、声が上げづらく、労働搾取の懸念があるアブラヤシ小規模農家から、労働環境状況や人権侵害の有無を直接確認することで、サプライチェーンのモニタリング体制を強化しています。本取り組みは、経済人コー円卓会議日本委員会および現地インドネシアのアブラヤシ小規模農家組合であるSPKSの支援を受け、2020年度より実施しています。
2022年度はインドネシア現地に赴き、初めて対面でダイアログを行うことができました。小規模農家約20名とのダイアログの結果、人権侵害や環境破壊など、喫緊の対応が求められる課題はありませんでした。一方で、肥料価格の高騰による農園経営状況への影響について懸念の声が多く挙げられました。また、トラクターなどの運搬車両を有していない農家はアブラヤシの納品を仲介業者に頼らざるを得ず、手元に残る利益が目減りしていることがわかりました。こうした経済持続性における課題は、小規模農家自身では解決が難しいケースが多い上、将来的に人権面・環境面への課題につながっていく可能性があります。今後もダイアログなどを通して小規模農家等を取り巻く環境・社会状況の把握に努めるとともに、経済持続性における課題の改善に向けた方策をサプライヤーとともに考え実践していきます。

SPKS (Serikat Petani Kelapa Sawit) とは
2006年にインドネシアにおいて設立された、アブラヤシ小規模農家組合。農家の持続可能性に配慮したパームやし生産を支援する
インドネシアの7つの地域に8,000以上の小規模農家とのネットワークを有する
小規模農家のデータ収集やマッピング、農家の組織化、生産性向上に向けたトレーニング、農家のISPOやRSPOなどの認証取得支援などを行う

実施実績

2020年度(オンライン) アンケート回答者: 小規模農家20名
ダイアログ参加者: 小規模農家、農業指導員合わせて18名程度
2021年度(オンライン) アンケート回答者: 小規模農家50名
ダイアログ参加者: 小規模農家、農業指導員合わせて20名程度
2022年度(対面) ダイアログ参加者: 小規模農家、村役場職員合わせて20名程度
(上記に加え、小規模農家が納入している中間業者やミル(搾油工場)とのダイアログも実施)

ヒアリング項目

ヒアリング項目

パーム油を育てるインドネシアのアブラヤシ小規模農家とのダイアログの様子

持続可能な調達

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